「蝉丸」の舞台展開

​ここでは「蝉丸」を6つの場面に分け紹介します。

写真 平成27年 能尚会 シテ武田尚浩

​撮影 前島吉裕

1、蝉丸(ツレ)一行の登場

 常の通り囃子方、地謡が着座すると、藁屋の作り物が出される。

そして蝉丸を先頭に、清貫(ワキ)を始め従者(ワキツレ)が登場し、宮中を出て、逢坂山に到着する旨を語る。

※蝉丸の頭上に掲げる作り物によって、輿に載っていることを表しています。

2、 蝉丸を棄てる

 盲目である故に宮中を追放されると悟った蝉丸は、清貫にここに棄てるのかと尋ねる。泣くばかりの清貫に対し、蝉丸は自らの前世の行いが悪いため盲目となった。父帝の命令は蝉丸の来世を願い、この世で前世の罪を果たすための親の慈悲であると言って清貫を慰める。清貫は蝉丸を出家させ、簑や笠、杖を与え、蝉丸は歌に詠み聞いたものはこれかと受け取る。やがて清貫と従者は都に帰り、蝉丸は一人嘆き臥す。

3、 博雅三位の登場

 博雅三位(間狂言)が現れ、蝉丸が逢坂山に棄てられたことを聞き、蝉丸のために藁屋を作ったことを語る。そして蝉丸を藁屋へと案内し、身の回りの世話をする旨を語り消える。

4、 逆髪(シテ)の登場

 逆髪が登場し、自分は醍醐天皇の第三皇子に生まれながらも、狂人となり、髪が逆様に生えてしまっていることを独白する。それ故に人々に笑われ、京都を飛び出したことを謡い舞い、逢坂山へとやってくる。

5、蝉丸との再会

 一方蝉丸は逢坂山の藁屋で琵琶を弾いて自らを慰めていると、そこへ通りかかった逆髪が弟の音色であると気付き声をかけ、二人は再会する。そして二人は皇子、皇女として生まれ、宮中で過ごした日々を思い出し、その後に身体的不自由によって、宮中にいられなくなった今の境遇を嘆く。

6、 別れ

 やがて逆髪は再び流浪の旅に出ることになり、蝉丸は泣く泣く見送り、別れる。

●ひとこと解説
蝉丸も逆髪も、自らではどうすることもできない運命によって、宮中を追い出されてしまいます。この理由を舞台の話の中では身体的特徴としていますが、そもそも我々は一人ひとり違う存在であり、誰しもが他人とは異なる部分を持っています。そういった意味では「蝉丸」の話は全ての人間が根本的に持つ業(ごう)の象徴なのではないでしょうか。

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